フレンステッドモビールのススメ 〜前編〜
はじめに、モビールとはデンマークの伝統工芸で、天井から吊り下げ、風によって見え方を変える空間を使ったインテリアです。
1954年、この伝統工芸を現代的アプローチでモダンなモビールに変えたのがフレンステッド夫妻でした。
息子オーレ・フレンステッドが彼らの後を継ぎ、彼自身の作品はMoMA(ニューヨーク近代美術館)のコレクションにも選定され、アート作品としても世界的に高く評価されています。
私の家では、フレンステッドモビールを季節によって使い分けています。
まず、年明けから春まではFlowing Rhythm, Red。赤い球体が日の出をイメージさせるこのモビールが一年の始まりです。
ツバメが飛ぶ頃になると、Swallowに交換します。部屋を飛び交うツバメが春らしく部屋の雰囲気もガラリと変わります。
モビールの良い所は、見る人の気持ちや時期によって、その見え方が180度変わるところだと思います。
最初にご紹介した、Flowing Rhythm, Redは、お正月に見れば和風な感じがしますが、 お正月を過ぎれば、赤と黒が静かに混じり合う、冬の長い夜にぴったりなモダンなインテリアへと変わります。
春の訪れと共に「海を渡って来たツバメ」のSwallowは、夏の始まりを告げる「巣立ち行くツバメ」へと変わり、取り替える頃には微かな名残惜しさすら感じさせます。
常にゆらゆらと形を変え、光によって濃淡を変え、全く同じ様に見えることはもう二度とないのかもしれません。また、見る人の気持ちによって、それは賑やかに、時によっては静かに感じるかもしれません。
モビールそのものが単体でインテリアとして完成するのではなく、人、時、心など複数の要因によって、目にする度に異なるモビールを完成させている様な気がします。
一つのモビールでも沢山の見え方や感じ方があり、お家を訪れたお客さんにも楽しんでもらえるのではないでしょうか?
さて、夏が始まると次はどんなモビールでしょうか?後編へと続きます。